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女の性癖、男の嗜好…(短編集)
第3章 史絵 34歳
「奥さん、下心はないんですが…
少しだけ休憩して帰りましょう」
「いいわよ~、ご休憩だろうがお泊まりだろうが
どんどんと付き合うわ~」
酔っぱらっている私は
自分がとんでもない言葉を発しているなんて考えもしませんでした。
同意を得たとばかりに
山下さんは私をラブホに連れ込みます。
「さあ、奥さん、少しお水を飲みなさい」
山下さんは冷蔵庫からペットボトルの水を手にするとカチカチと封を切って私に手渡してくれた。
「その奥さんって呼び方はやめてよ」
「じゃあ…なんて呼べば?」
「史絵よ、わたしには史絵という立派な名前があるんだから」
「それじゃあ、僕も山下さんなんて堅い呼び方ではなく清と呼んでくれよ」
「清?」
「うん、そうだよ」
「やました…きよし…?」
なんと、あの、裸の大将の山下清と同姓同名なんです。
「うそ~!」
私は開栓したペットボトルの水を手にしたまま
ベッドに大の字になって笑い転げた。