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女の性癖、男の嗜好…(短編集)
第24章 早苗 33歳

「失礼、早苗さんでいらっしゃいますよね?」

どうして私の名を?
男は私の方を見向きもせずに
肩を並べて前を向きながらそう言った。

「あなた誰なんですか?
どうして私の名を知っているのよ!」

「興奮しないでください
落ち着いて話をしようじゃないですか」

男はそう言うと
私の腰に手を回すと
拉致するかのように停めていた車に放り込みました。

「早苗さん、いや、奥さんと呼ばせていただきましょうか、私はあなたの旦那さんから依頼を受けた興信所の者です」

男はそう言って名刺を差し出した。

「興信所?!」

まさかと思いました。
あんなに鈍そうな夫が私の不倫に気づいて調査させていたなんて…

「奥さん、なかなか尻尾を出さないものだから
こちらも苦労しましたよ」

そう言って男はICレコーダーの再生ボタンを押した。

聴こえてきたのは私のあえぎ声…
そして不倫相手の男の名を呼び
何度も逝く!逝く!と喚いていた。

盗聴?

「奥さんたちの隣の部屋に潜入して
壁に集音マイクを使って録音させていただきました」

こうでもしなければ証拠を掴めなかったのでね
男はそう言って再生を止めた。

「夫に…報告するのね?…」

そう思ってくれているのなら話は早い。
男は馴れ馴れしく私の肩を抱いてきました。

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