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女の性癖、男の嗜好…(短編集)
第33章 槙子 50歳

夫婦としてなら「こんな豪華な旅館なんて勿体ないわ!」と夫を叱り飛ばすところですけれど
もうすぐ他人になるんですもの
懐具合なんか知ったこっちゃありません。

お部屋に案内されて
またまたビックリしました
なんと、お部屋に露天風呂が付随されているんですから…

「気に入ってもらえたかい?」

馴れ馴れしく私の肩をそっと抱いて
夫が優しく囁きます。

結婚してから子供を出産するまでの
新婚当時の甘い囁き…

思わず股間が久々に濡れかけたけど
私は頭を振って、その邪念を振り払いました。

「そうね、最後の思い出作りにはちょうどいいわね」

さりげなく肩を抱いていた夫の手を払いのけました。

「せっかく露天風呂が付いているんだから
どうだい?汗でも流さないか?」

そんなことを言いながら
入浴する気まんまんで夫は脱衣を始める。

見慣れた夫の体…
でも、ここ10年ほどは繁々と眺めたこともなかった。
たるんでしまったお腹…
年齢のせいでしょうか、体毛も頭と同じように薄くなっている気がしました。

「ほら、お前も脱げよ」

「いやよ、恥ずかしいもの」

今はまだ夫婦なのに恥ずかしいもないだろ

そう言って夫はフルちんのまま私に近づいて
服を脱がそうとします。

「いい、いい!
自分で脱ぐから!!」

慌てて夫から離れて
部屋の片隅で夫に背を向けて脱衣をしました。

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