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女の性癖、男の嗜好…(短編集)
第39章 美登利 30歳

『さすがに男の子ねえ…
雑すぎるのよ…』

見かねて私が片付けてあげるから
救急箱をお願いしていいかしら?

そう言って彼を押し退けて
雑誌を片付け始めて、それがいわゆるエロ本だと気づいたんです。

『まあ!見てはいけないものを見てしまったわ』

でも、多分、男の子なんて誰もかれも性に対して興味があるんだろうし、私はあえて気づかないフリをしてあげました。

でも、よくよく見てみると
雑誌は若い女の子のヌード雑誌ではなく
なんというか…その…俗に言われる「熟女モノ」でした。

『へえ~…真面目そうな顔をしているのに
けっこう年増が好みなのね…』

私は片付ける手を止めて
雑誌の数ページをペラペラと捲ってしまいました。

「あっ!ヤバっ!!!」

私が雑誌に目を通しているのに気づいた彼は
慌てて私の手から雑誌を奪いました。

「へえ~…そういうのに興味があるんだ?」

「こ、これはたまたま選んだ雑誌が熟女モノだっただけで、ホントはお姉さま系が好きなんです!」

そう言って、弾みで喋ってしまったことに
『あっ!しまった!』という表情をしたのが可笑しくて、私はクスクス笑ってしまいました。

「す、すいません…余計なことでした…
さ、消毒しますから手をこちらに」

そう言って彼は私の手を優しく繋いでくれました。

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