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女の性癖、男の嗜好…(短編集)
第6章 眞由美 30歳
あまり時間がないんですけど
それでもいいですか?
そのように伝えると、
声をかけてきた青年は
「OK、オッケー!
全然オッケーだよ」と私を喫茶店に連れていってくれた。
テーブルを挟んで見知らぬ男性と向かい合うということが、こんなにもドキドキしてときめくものだというのを久方ぶりに感じた。
青年は私の左手のくすり指のリングをめざとく見つけて「あれ?もしかして人妻さんですか?」と
あまり驚きもせずに、さりげない口調でそう尋ねた。
「ええ、ごめんなさい、人妻なの…
せっかくナンパしてくれたのにガッカリさせてごめんなさいね」
「全然!
全然オッケーですよ
そりゃあ、フリーの女の子に越したことはないけれど、人妻さんだってナンパされる権利はあるわけだし…」
そう言いながらも
青年はあわよくばいやらしい関係になれたらいいと思っていただけに、私が人妻だとわかってすごく分かりやすくガッカリしていた。
それが何だかとても可笑しくて…
だから私、彼の顔をチラチラと見ながら
クスクスと笑ってしまったんです。
「えっ?僕の顔に何かついていますか?」
「もうやだぁ~」
ついに、私は耐えきれずにゲラゲラと笑ってしまった。