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女の性癖、男の嗜好…(短編集)
第6章 眞由美 30歳

ワコン車の中には見知らぬ男が二人乗っていた。

「なんだ、なんだ?
お前たちは手ぶらで戻ってきたのか?」

俺はちゃんと獲物を見つけてきたぜと
さっきまでとは、うってかわって冷酷な表情をして
車の中の男二人を蔑(さげす)むように言い放った。

「俺は最初からお前がキッチリと女を連れてくると見越していたさ」

車のエンジンを始動させながら
運転席の男が不敵な笑みを浮かべた。

「あの…?、これは、どういうことですか?」

さっきまでのナンパされて浮かれていた気分が
サーッと引いて、私は身の危険を感じていました。

「あんたさあ、俺に何でもするって言ってくれたよね?
だからね、ちょっとだけ働いてもらおうかなと思ってね」

もう一人の男とナンパしてきた彼に挟まれて
私は車から逃げ出す術を失くしてしまいました。

「働く?何のことか話が見えてこないんですけど!
どこかへ連れ去るつもりなら御免だわ!
降ろして頂戴、帰らせてもらいます!!」

「そんな冷たいこと言うなよ
ちゃんと礼は弾むからさあ」

そう言うなりナンパしてきた彼は
私の口をハンカチで押さえつけた。
甘い香りがして、私はそのまま気を失いました。

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