この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
女の性癖、男の嗜好…(短編集)
第8章 女久美 54歳
「本当の事を言います
僕、社会人になって、あの通勤電車を利用することになったんですけど、その時、一目見て貴女を好きになったんです!」
「ちょっと待ってよ!本当に私なの?
誰かと間違っていない?」
「いいえ、間違いなく貴女です」
「言っておくけど、私は50過ぎのおばさんよ?
熟女好きにも程があるわ」
「年齢とか関係ないでしょ
好きになってしまったものは仕方ないですから」
こんなハンサムに面と向かって好きと言われて
年甲斐もなく胸がときめきました。
「そう…そんなことを言ってくれるのは嬉しいけど…実は私、定年したから、もうあの電車に乗ることはないわ」
だから、これでおさらばね
痴漢をしたことは黙っていてあげるから
年相応の女性を口説きなさい。
私はテーブルの伝票を手にすると
彼にサヨナラも告げずに席を立ちました。
「待ってください!!」
お店をでた私を彼は大股で追いかけてきます。
「しつこいわね!
これ以上付きまとうと本当に警察に連れていきますよ!」
「もう会えないのなら…
せめて、最後に貴女を抱かせてください!」
駅の近くの路地はそれなりに人通りがあります。
なのに彼ったら恥ずかしげもなく私を求めてきたんです。