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最愛の人
第38章 目に見えない傷
部屋に戻って食べたくもない夕食を作っていると、久々に鳴った携帯。

「はい。ご主人様、愛莉です」

「なかなか行けなくてすまんな。
30分後に行くから、簡単に何か出してもらえるか?」

「はい。承知しました。
お待ちしております」


あれ?ご主人様と話すときってどんな感じだっけ?
あれ?嬉しいはずなのに…


「ただいま。急に悪いな」

「おかえりなさいませ。
いえ、丁度夕食の準備をしていたので大丈夫でした。
あまり手の込んだ物は作れていませんが、どうぞ」

「うん。やっぱり愛莉の飯はうまい。
やっと食事をしたって感じだな」

「ありがとうございます。
お酒はどうしますか?」
(だれの料理をたべてたんですか?)

「いや、戻らないといけないから今夜はいい」

「そうですか。ではお茶を淹れますね」
(もどる…だれの元へですか?)


「ごちそうさま。
愛莉、書斎へ移動しよう」

「わかりました。
とりあえず、食器だけキッチンに持っていってから伺います」


コンコン。
「愛莉です。入りますね」

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