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はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。
第8章 『仁さんの初体験』
『でも…、今日はそこには…無いみたい…。
困っちゃったなぁ…、このまま上履きで…
家まで…帰ろうかなって考えてた所』
『ちょっと…、待っててッ』
いつもは…玄関のゴミ箱に
靴を入れられていると、
そうナチュラルに笑いながら
話せるのもそれはそれな感じだが。
ゴミ箱のゴミの行き着く先を見てこようかと
僕が云おうとすると、後ろから声がした。
『あっれ~?
何でこんな所に居るの?陽詩~。
靴…は、要らないの~?
早く、旧校舎…行きなよ。
旧校舎の理科室に
陽詩の靴があるよって、手紙が入ってたでしょ?』
名前は知らないけど、その女子生徒には
僕も見覚えがあった。
不良グループとも付き合いがある、
柏葉と同じクラスの女子生徒だった。
『て言うか、陽詩、何で茂木なんかと居んの?』
僕は…この女子生徒と面識ないんだけどな、
何で呼び捨てにされてるんだろ…とは
突っ込んで良いのか悪いのかだけど。
なんかって何だよ?
僕は居合わせただけだし、
帰ろうとしてただけなのに、
とんだ言われようだ。
と言うか、コイツ誰だよ?
制服のタイの色からすれば同じ学年らしいが。
全く面識のない、話た事はおろか
名前も知らない同級生だからな。
そう考えて、ふと…そう言えば
中間と期末のテストの結果は、
職員室前の廊下に張り出されるんだから。
だったら、面識なくても
僕の名前と顔位は知ってるか。
『旧校舎の理科室…ってさ。
不良グループの溜まり場の部屋でしょ?
柏葉をひとりで行かせて、
どうするつもりだったの?』