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はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。
第9章 『茂木純二と真奈美』
あの…ボロボロの市営のアパートから、
私を王子様が連れ出してくれるって…。
そんな妄想を…しながら、
ひとりで砂場にお城を作って居た。
仁さんは…DNA鑑定をしないかって…
ずっと真奈美に言って来る。
真奈美と…純二おじさんが…親子だって分かれば。
親父が遺した遺産を…
真奈美ちゃんに渡せるからって。
私が…欲しい物は…お金だけど。
お金じゃない。
そのお金を貰っても、
純二おじさんが戻って来ないし。
だけど……、
純二おじさんと…真奈美に血縁関係があるって、
そう…科学的に証明されれば…、
真奈美の中にある
純二おじさんとの記憶は、
真奈美のお父さんとの記憶になる。
「真奈美の、…お父さん…」
それは…知ってる…分かってる…。
でも…それが…判明してしまえば……。
私が…仁さんに…抱いている…この感情は…
捨てないと…行けない…事になる。
叶う訳も無い…、
そんな恋をしてる…自覚はある。
仁さんは…真奈美が単に19歳だから、
未成年だからって、だけで
子ども扱いしてるんじゃなくて。
自分と血の繋がりのある…腹違いの
兄妹の可能性がある事を…疑って居て。