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はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。
第12章 『真奈美と仁』
親父の葬式が済んで、
しばらくして祐樹と飲みながら話してたら。
祐樹には…30やそこらで…、
自分の嫁さんと父親に
立て続けに死なれる奴は…早々居ないよと…
同情されてしまったのではあるが。
真奈美ちゃんの気持ちには…、
僕だって気付いて居ない訳じゃない。
だけど…、僕は…知らず知らずの内に
彼女を萌花と重ねてしまう…かも知れない。
真奈美ちゃんは真奈美ちゃんだと…、
頭では理解出来て、思って居ても。
心の奥底で…、真奈美ちゃんの中に
萌花の影を…探してしまうのかも知れない。
それでも…良いと許されてしまっても…。
応えられない自分を…
僕が許せなくなる…日が来るに決まってる。
だから…、
この…白でも無い黒でも無い…。
どっちつかずな…グレーに近い
曖昧な関係を…保とうとしている。
はぁ…と…仁が…深いため息を一つ…ついた。
『いや…、どっちにしろ…酷いか。
僕は…、ダメな奴だな…。
親父みたいには…
なりたくないと…思ってた…けど…。
どっちにしても…僕は…、
真奈美ちゃんを…泣かせる事しか…
出来ない…男…でしか…ない…しな』
今のままの曖昧な関係に甘んじていても、
彼女の好意に…
僕が甘やかされるだけでしかないし。