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はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。
第3章 『中折れの天野様夫婦』
にこやかで…
それでいて晴れやかな表情をしながら、
手を繋いでお互いの顔を見つめ合って居る
天野さんご夫婦の姿を見ていると。

あの朝にここを訪れた夫婦と、同じ夫婦だと
誰が思うだろうか…と茂木は思って居て。

「すいません…、あの
お部屋の…シーツのクリーニング代を…」

スッとお金を支払うためのカルトンに
領収書の乗った紙を置いて、真奈美が
素早く聡の前に立つと、
カルトンを差し出してお部屋の使用料金を頂いて。

ラブホテルの最低ランクの部屋の
1時間の料金より若干安い程度のお代金を頂戴して。

何度もこちらに頭を下げながら帰って行く、
天野さん夫婦を真奈美と一緒に見送った。

茂木がスマホを見ながらビールを飲んでいると、
コトンとビールを真奈美がテーブルの上に
置いて来て。その横に柿の種の小袋を置いた。

「仁さん、これ…。ご褒美ですよぉ~。
今日の仁さんは良いお仕事をしたので…、
真奈美が特別にその働きを褒めて差し上げるのです」

『ビール様はありがたいけどねぇ~。
もっと…こう…色気のあるお礼がいいな…僕は。
真奈美ちゃんじゃなぁ…、若すぎるし
やっぱり、30超えてからじゃないとな~』

ひょいっとテーブルの上に置いたビールと
柿の種をささっと真奈美が回収してしまって。

「文句の多い仁さんには、あげませんよ~だ」

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