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第17章 『仁さんの退院と前嶋からの依頼』

『それにしても…、また…
何故…今更に依頼を…と…
思い立たれましたか？…理由でも…』

婚約が破綻になった直後なら、
まだわかるが…。そうでもない。

仁が…自分の斜め前に座って
こちらと視線を合わせようとしない。
前嶋と言う男の方を見た。

前嶋は…テーブルの上の
減って居ないコーヒーのカップを
静かに見つめながら。
自分の指先を合わせる様にして
引っ付けると…重々しい口を開いた。

「人づてに…聞いたんです…、
彼女が……、私の元婚約者の女性が
その、近く結婚する…んだと…」

『その…、…婚約者の女性との間に
婚約期間中にトラブルが…って
事で…合って居る…んですよね？』

もう…具体的な結婚式も
計画して準備してた段階での
婚約の破棄なら何かしらの…理由が…。
彼とその婚約者の間にあったはず…だ。

「………ある女性と一緒に居る所を
彼女に見られてしまいまして。
その女性とは、何の関係も無いと
何度も説明をしたのですが、
あちらの両親も自分の娘をたぶらかした
不埒者だと…、僕が言う事には
全く…取り合ってくれずで…」