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はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。
第21章 『白鳥美幸のその後』
最初で最後の夜…。
そんな言葉が似合う気がしていた。
こんな風に…デートをして…、
ラブホテルに泊まる様な…依頼は…
今まで美幸さんから受けた事が無かった。
息子さんが居るのだから、
…男性の影を
難しい年頃の息子さんに
悟られたくないだろうのに。
「そうなの…、だから…今夜は…」
無駄な詮索をせずに…、抱いて欲しいと
そう言うのが…本音なのだろう。
何が…変わらない事を望んでいた
美幸さんを…変えたのか…。
それは…僕が…知らなくてもいい事だしね。
僕と…この…関係を続けた所で
何も”変わらない”のだから。
僕とのこの関係を変えたいと思う
きっかけがあったのであれば…。
僕は…夫婦円満本舗の茂木仁として。
その美幸さんの変化を…喜べばいい。
『良かった…ですね…美幸さん』
「……―ッ!?…仁君…まだ…ッ
私は…何も…仁君に…話してない…のに…ッ」
『わかりますよ…、
何も聞かなくてもね…?
僕と…美幸さんの間柄ですから…。
僕は…それを…喜ばしいと思ってますよ…』
僕の言葉は…意外だったのか、
それとも予想通りだったのか…。
美幸さんの…少したれ目の大きな目には
涙が浮かんで…溜まっていて。
今にも…その目から零れそうな…涙を…
そっと…指の腹で拭った。