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第27章 『個人パーティーのサクラ』

このベッドの上の世界だけ、
周囲の世界と切り離された世界。

周りに見えているこの部屋の景色も
今は…目に入っていても、
お互いの存在だけが認識できる世界…。

そう、この…雰囲気と言うか
空気と言うか、ムードと言うか…
2人だけの世界を…作る…事。
これが出来る…男優は、
女優のパフォーマンスを普段の
パフォーマンス以上に引き出せる男優。

僕が…現役で…働いていた
期間は…そんなに長くないけど……、
そこまで…有名な人達に比べて
出演した作品が多い訳じゃないけど。
現役を引退した後も…、僕の事が
そう言う界隈で話題になるのは…
僕のそれを…評価してくれている人が
この業界に多いから…でもある…。

じっと…見つめ合いながら
ゆっくりと距離を詰める。
瞳の奥まで…見つめ続けると…、
恥ずかしいのか…落ち着かない様子で
僕の太ももの上に手を置いて来る。

置いて来たその手に自分の手を重ねる
柔らかくてスベスベとした
肌の感触が…２０代の若い女性
特有の…滑らかで張りがあって
手の平に吸い付く様な感触で。

『綺麗な手…だね…』

「手…は…、その…来る前に…」