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人妻の愁い(憂い)
第4章 パートタイムラブ…
 ①


「ありがとうございましたぁ…」

「ねえ、ねえ悠里さん、あの、今の人さぁ…」

 わたしは近所の知り合い等とのバッティングが嫌で、自宅から二駅先のコンビニでパートをしていた…

「え…」

「ほぼ毎朝来るけどさぁ、夜勤上がりの独身なのかなぁ?
 ううん、絶対に独身だよねぇ」
 ほぼ毎日、毎朝、午前9時過ぎに来店し、いつも缶ビールとお弁当を買っていく…
 このパート仲間の予想は多分、当たりであろう。 

「結構いい男よねぇ…
 40歳くらいかなぁ?
 わたしさぁ、あの人みたいの、意外とタイプなのよねぇ…」
 このほぼ毎日一緒のシフトで働いている彼女も主婦、いや、人妻であり、年齢も37歳のわたしと同じであった…

 ただ、違うのは…

 彼女は子供が二人おり、幼稚園の合間の時間のパートタイマー…
 かたやわたしは、子供はなく、いや、できなくて、同居している義母とのワンクッションの距離を置く為のパートタイマーなのである。

 昼間の数時間、義母と距離を置く為、息抜きをする為…
 そしてそれは、大学職員である二つ年上の夫の公認でもあった。


「悠里さんは、タイプじゃないのぉ?」

「え、あ、うん、そうでもないかな」

 だが、ウソであった…
 
 元スポーツマンだったのだろうか?…

 身長もあり、カラダ付きもガッチリとし…

 意外と理知的な顔をしていて、嫌いなタイプではない…

 そして…

 いつもお会計時に…
『ありがとう…』
 と、小さな声だが言ってくれる…

 きっと優しい人なのだろう…
 わたしはそう秘かに思っていた。

 だけど…

 彼女みたいにタイプ云々は…
 とりたてて考えた事は無かった。

 ただ、日常の…

 わたしのコンビニパートの日常の…

 毎日、毎朝来る、数多くの常連さんの…

 その中の…

 ただの一人の男性でしか無い…

 ただ、それだけであった…

 いや…

 そう思っていただけだ…
 
 

 

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