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人妻の愁い(憂い)
第4章 パートタイムラブ…
 ④

 わたし達夫婦は約半年間セックスレスであった…
 だからよけいに、隣の男の指の動きに過剰に反応してしてしまったのだ。

「………」
 
 左隣の男の手指が、わたしの左脚のスカートから出ている膝辺りをゆっくりと撫でてきた…

 あっ…

 指先がストッキングの肌触りの感触を確かめるかの様にツーっと撫でてきた時に…
 小さくビクッと震えてしまう。

 それもよく分かる様に…

 いや、分かりやすく…

 だから男の指先は、少しずつ…

 映画のムーディーなシーンに合わせるかの様に…
 少しずつ大胆になってきたのだ。

 それは膝辺りから少しずつ…

 徐々に…

 本当にゆっくりと…

 上に…

 そして、おそるおそる…

 膝丈のスカートの中に…

 入ってきていた…


「………」

 わたしは黙って為すがままに…

 顔はスクリーンに向かい…

 脚は固まった様に硬直し…

「………」

 そして黙って…

 息を潜め…

 ただ、男の指先の僅かな動きにだけ…

 小さく…

 ほんの小さく…

 ビク…

 ビク…

 と、震わせ…

 微妙に汗を滲ませ…

 感じてしまっていることを…

 左隣の男に伝えてしまっていたのだ。

 スクリーン上では、ついに主人公とヒロインがベッド上で愛し合い始めた…

 互いに抱き合い…

 キスし合い…

 カラダをまさぐり合い…

 そして…

 左隣の男は、そんなスクリーンのシーンに連動したかの様に、更に、大胆に、指先をスカートの中に…

 あぁ、ヤバい、感じる…

 疼く…

 濡れてしまう…

 更に男の指先が、ゆっくりと…

 あぁ、やめて…

 い、いや、もっと…

 触れられている左脚が…

 まるで心臓になったかの様にズキズキと昂ぶり、疼いてくる…

 あぁ、ヤバい、これ以上は…

 い、いや、もっと…

 その時スクリーン上ではついに主人公とヒロインが結ばれ、喘ぐ…

 あぁぁ…

 その時であった…

 わたしは無意識に…

 左手で左隣の男の手を…

 握った、いや、握ってしまった…

 今度は男の手が…


ビクッと震え、慌てて引っ込め様と動いてきたのだが…

 わたしはガツっとその手をきつく握り、引く手の動きが止まる…

「………」

 そして、ゆっくりと顔を左側に向けていく…



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