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淫魔の宿へようこそ
第3章 ホテルのお仕事
翌日は良いお天気に恵まれました。
今朝は早くに目覚め、出窓から身を乗り出したニコルは新鮮な空気と目新しい景色を全身に染み渡らせます。
「さあ! 今日から頑張って働くんだから!」
両手を腰に当てたニコルは大声をあげて空を仰ぎました。
ニコルは昨日までの青年が着る旅の服でなく白のブラウスとスカート姿です。
これはドルードが準備してくれたものでした。
ニコルは昨晩、自分の境遇を二人に話しました。
―――
両親を続けざまに亡くした18歳のニコル。
彼女の実家は小さな食堂でしたが、地元では味がいいと評判で、ニコルも小さな頃から店を手伝っていました。
しかし親を亡くしても、彼女が泣く暇がたっぷりあるほど裕福な家ではありませんでした。
自身の身の振り方を考え、ニコルは食堂をやっていた両親にならって料理人を目指し、修行のために働くことに決めたのです。
かくして一旦店を畳んたニコルは更なる腕を磨くため、それから経営のノウハウを学ぶために、様々なレストランやホテルを訪ねて回りました。
しかしながら外で働く……特に料理人などは主に男性の仕事とされている中で。
加えて未経験の18の小娘を雇ってくれる所は決して多くなく。
その中でやっと、『小さなホテルらしいけどいいかい?』と弱りきった職業紹介所での係の人から、このホテルを提案されたわけでした。