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淫魔の宿へようこそ
第3章 ホテルのお仕事



昨晩、夜も更けた頃にドルードが案内してくれました。

『ニコル、君の部屋はここね。 クローゼットに動きやすい服が入ってるよ』

『あの、でもこれ……?』

クローゼットを開くと女性用の洋服が並んでいました。
街でよく女性が着ているものです。

『君の事情は分かったんだし、わざわざ男の服を着る必要はないでしょ? 下着や靴なんか、足りないものがあれば今度街へ買いに行こう。 その窮屈な巻き物は体に悪そうだから止めた方がいい』

黙っていたニコルにドルードが言いました。

『三日後に二十人程のお客が来る晩餐会がある。 それで 問題がなければニコル、君を正式に雇うことにする。 お客の無い時は一日に一度、僕に食事を作ってくれたらいいよ。 それでどうかな?』

『ほ、本当に……?』

自分が女性だと分かっても? そんなチャンスを与えてくれるなんて思いもよらなかったことでした。

それでもふと、ニコルは心配になりました。

『配膳やお部屋のお掃除などは……ここはホテルですからもちろん頑張りますけど、仕入れも考えると、私とても一人でこなせる自信がありません』

『大丈夫だよ。 僕が出来ないのは料理だけなんだから』

ドルードは事もなげにそう言ったのでした。



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