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淫魔の宿へようこそ
第3章 ホテルのお仕事



「彼らは洗濯やホテルの部屋の掃除もするからね。 だからニコルは自分の仕事に専念するといいよ。 ちなみに給仕や買い出しはマエロの仕事だから、仕入れについては彼に相談してね」

頭がついてこない、それでもニコルはカタコトの言葉でやっとやっと口に出しました。

「ドルードさんは、何者…なんですか?」

考えみればこんな少年がホテルを経営してるなんておかしな話です。

……それに、あれやこれやとあったせいで頭が回りませんでしたが、自分がドルードにされたこと。
彼に胸を触られたことを思い出すと、どうしようもなく恥ずかしくていたたまれなくなりますが、嫌だという気持ちとは違うものです。

それよりも、ニコルはあの一瞬、自分の意識が切り取られて彼に持っていかれたような錯覚を覚えたのです。
あの時の彼はどう考えても〈普通〉とは言い難いものでした。


神や魔術、妖精の存在が信じられているこの世界では、まだ人間では無いと言われた方がニコルとしてはしっくり来ます。

肩にエビルを止まらせて、指先で彼の頭を撫でていたドルードが彼女に教えてくれました。

「ドルードってのはドイツ語でインキュバスって意味だよ。 僕の名前って、割と適当につけられたんだよねえ。 悪魔…でもあるんだけど、淫魔って聞いたことないかな?」



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