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淫魔の宿へようこそ
第6章 ニコル


ニコルは夢の中をさ迷っていました。

棺の中で目覚めましたが真っ暗な中で一人ぼっちでいた自分は何も身に付けていなく、とても心細く肌寒く。 ニコルは自分自身の体を固く両腕に抱きしめました。

「今度はまた何作ったんだよ」

どこからかサイラスの声が聞こえました。

自分はなぜかお鍋を持っていて、それは魚介のスープのようでした。

(これを早く届けに行かなくちゃ)

ニコルはそう思い、懐かしい両親の声が聞こえたような気がしましたが、それは一瞬のことで、耳を凝らすとすぐに消えてしまいました。

ボツポツと小さなランプの灯りが自分の周りを点し、それに導かれるようにニコルは立ち上がり歩き出しました。

目の前にある森のホテルを見た時、ニコルは不思議と泣きそうな気持ちになりました。

「こちらですよ。 ニコル殿」

犬の姿のマエロが地下への入口にあたる扉の傍に立っていて、彼女を呼んでくれました。
躊躇いもせずに両側の壁にランプが灯る地下の石段へ降りたニコルは、先程自分が寝ていた棺に佇んでいる人物を見つけて嬉しくなりました。



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