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淫魔の宿へようこそ
第6章 ニコル



「は…っ……」

詰めていた息を吐き切ってニコルは体を支えるために調理台に手を着きます。

「……っ……」


「………仕事が終わったら僕の部屋へおいで」

今度は感情の見えない彼の声でした。
遠ざかっていく足音と一緒に、ドルードが厨房を出て行きます。

耳や首筋が火傷したように熱く、彼が触れていたお腹の下がズキズキして痛みを持ちそうでした。


ニコルは彼と逢瀬を重ねるごとに思い知らされました。

ドルードの熱量と逞しさ。
亜麻色の前髪の下に隠された、一見害がなさそうにみえていた彼は……圧倒的な男でした。


(私には…抗えない……どうしても惹かれてしまう…)


こんな時のニコルはまるで磁石のようにドルードに引き寄せられるだけで、いっそ何もかも忘れ、彼に溺れきってしまいたくなるのでした。




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