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淫魔の宿へようこそ
第7章 背徳を覆う淫魔の愉悦
レストランが終わって片付けをしている音が階下から聴こえてきます。
ドルードは出窓を開けっ放しにしたまま外の喧騒に耳を傾けていました。
眼下に目を向けると、遅くまで居た最後のお客も馬車に乗り込んで去っていくようでした。
ランプの灯りが森の深い闇へと消えていきます。
「ドルード様…あの……今晩も、お茶などは運ばなくてよろしいでしょうか」
戸口に控えていたマエロがどこか遠慮がちに口を開きました。
「うん。 今後は頼みたいことがあれば事前に言うから。 エビルや君も表には出さないけど、体が辛いんじゃないかな?」
「いいえ、私は。 元よりドルード様がご自身の寿命を削ってまで、私に人の姿にもなれる魔力を与えてくださったのですから。 それよりも…本当なのですか? まさかニコル様が………そのう。 セシリア様の…生まれ変わりなどと」
「僕の言うことを疑うの?」
有り体に言えば、マエロは自分の主人が疲れているのだと思っていました。
魔界と人間界という住みかの別がなければ、ドルードとは悪魔の中でも屈指の長寿で魔力にも恵まれた、大概の時に冷静沈着な人物だと彼は評していました。
最近彼とニコルがやんごとなき関係にあるらしい。 それさえもマエロにとっては信じがたいことでした。
彼はドルードのセシリアへの想いをよく知っていたからです。