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千一夜
第45章 第七夜 訪問者 戦い
「ねぇ知ってる?」
「何のことだ?」
「遠山のやつらが言ってたんだけど」
「遠山のやつらという言い方は止めろ」
 役所が遠山機械工業と対立したことは一度もない(遠まわしに脅されたことはあったかもしれないが)。ただ、庁内で遠山に対するライバル心のようなものが燻っているのも事実だ。特に香坂はいつもライバル心を剥き出しにする。
「長谷川、情けないわよ、遠山様に骨抜きにされるとこうなるのかしら」
「骨抜きにされてない」
「それでね、遠山のやつらが言ってたんだけど。どうやらフットサルのチームが新しく二つできたらしのよ。合計十二チーム。来年は十二チーム参加のリーグ戦が始まるらしいわ」
 直ぐ心を改める人間なんてこの世にはいないのかもしれない。どれだけ注意しても香坂の「遠山のやつら」という言葉は訂正されない。というか訂正する気なんて香坂にはない。
「それがどうかしたのか? 役所には関係のないことだ」
「はぁ。長谷川、関係があるから言ってるのよ」
 香坂は大きなため息を一ついた。
「どういう関係だ?」
「遠山のあの施設を借りたいと言う人たちどれくらいいると思う?」
 香坂が言う遠山のあの施設とは、ドーム型の屋内施設のことだ。施設メンテナンスの日以外は、遠山機械工業だけでなく他の団体にもフットサル場を貸し出している。ただし土曜と日曜、そして祝日の大半は遠山の関係者以外は利用できない。
「問題はないはずだ。そもそもあの屋内施設は遠山のものだ。我々は我儘を言ってあの施設を借りているんだ」
「遠山が言ってきたのよ」
「何を?」
「来年からは金曜の貸し出しはできないって」
「金曜が使えないと言うことか」
「そりゃチームが増えてリーグ戦なんかになればそうなるわよ。遠山杯みたいなものを勝手に作って今までトーナメントで優勝を争っていたみたいだけど。優勝チームは遠山の会長と社員食堂でランチを食べることができる副賞がつくんですって。ちなみにランチ代は会長が支払うみたいよ。あいつらそういところ憎めないのよ。遠山のくせしてさ、ああ、むかつく」
「遠山のやつら、遠山のくせして、ああむかつく。香坂、いつか問題になるぞ」
「構わないわ」
「こっちが構うんだ。君は副市長候補だからな」
「勝手に決めないでよ」
「もう決めたんだ」
「私、副市長になんかならないわよ」
「無理だな」
「ああ、副市長なんて面倒くさい」
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