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千一夜
第45章 第七夜 訪問者 戦い
「おはようございます」
 女が私に朝の挨拶をした。
「おはようございます」
 女が誰なのか確認する前に、私もつられて女に朝の挨拶をした。
 立花京子? いや違う。京子はグレーのスーツなんて着ない。ということは沢田絵里。絵里は手に黒のトートバックを提げていた。
「『よし』という声が聞こえたんですが、出勤前はいつも気合をいれているんですか?」
「まぁ、そんなところです。今日一日乗り越えるために自分に暗示をかけました。市長候補がこんなこと言ったらだめですか?」
「構いません。私の前ではいくらでも弱音を吐いてください。そうでないと本当に乗り越えられなくなります。選挙まであっという間です。でもストレスを溜めてはいけません。私でよければいつでも愚痴を聞きますよ」
「弱音に愚痴ですか」
 何とも情けない市長候補だと思った。市民の前で弱音なんて吐けない。市民は市長の愚痴を聞く耳を持っていない。
「私の気のせいでしょうか。長谷川さん、だいぶお疲れのように見えます。体調管理はしっかりされてますか?」
「ええ」
 並行世界で沢田絵里と瓜二つの女とセックスをしただなんて口が裂けても言えない。快楽に嫉妬が混じって気持ちよく射精したことも、夢精のことも。それは私の秘密だ。
「健康管理のできない政治家は失格です。栄養を考慮してしっかり食べる。確か長谷川さんはゴルフをなさるとか。時間を見つけて体を動かすことも忘れないでください。それから……」
「それから?」
「醜い政治家では選挙民の心は掴むことができません」
「醜い政治家? どういう意味ですか?」
 醜いとは容姿のことを言っているのだろうか。
「ごめんなさい。少し言い過ぎました。幸い長谷川さんは中肉中背。不摂生の象徴であるポッコリお腹は市民から嫌悪されます」
「ポッコリお腹?」
「そうです、ポッコリお腹。仕事なんてしていませんと宣言しているようなお腹のことです。これからの政治家はそういう細かなところにも注意しなければいけません。でないと二期目に厳しい判断が下されます」
「二期目?」
 二期目とは……。
「会長から聞いていませんか?」
「何も」
「申し訳ないのですが、それにつていは会長からお聞きください。これに目を通しておいてください」
 絵里はバックから書類を出し、それを私に渡した。そのとき絵里の香水の匂いがした。
 
 
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