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千一夜
第49章 第七夜 訪問者 妖の灯
電話の音に私と咲子は顔を見合わせた。受話器は私が取った。咲子が私に近づいて受話器に耳を傾ける。
「はい」
旅館の従業員は私にこう話した。
「お休みのところ誠に申し訳ございません。今ほど香坂様とおっしゃる女性の方から電話がございまして、香坂様が長谷川様にお電話しているらしいのですが、長谷川様がお出にならないとおっしゃっておられました。お伝えしなければならない重要なことがあるので至急連絡を頂きたいとのことです。失礼ですが、香坂様は長谷川様のお知り合いの方でしょうか?」
「同僚です」
正確に言えば元同僚なのだが元を付けると面倒になるような予感がしたので元は省略した。
「そうでしたか。それでは香坂様よりのご伝言、お伝えしましたのでよろしくお願いいたします」
「わざわざありがとうございました」
「お休みのところ申し訳ございませんでした。失礼いたします」
受話器を置く。すると咲子が強張った顔でこう訊ねてきた。
「ねぇ、どういうこと?」
「香坂からだ。連絡が欲しいらしい」
「私たち今新婚旅行中なんですけど。香坂さんて常識がない人なの?」
私も咲子もスマホは持っている。ただ、この旅の間だけはスマホの電源は切ることに決めていた。
「いや、あいつでも俺たちがここに泊っていることは知らなはずだ。俺たちの新婚旅行の行き先を知っている人間は限られている。会長、そして俺の両親くらいだ」
そしてもう一人、沢田絵里。
「つまり?」
「香坂はどうしても俺に伝えなければならないことがあるということだ」
「とても大切なこと?」
「多分」
「その大切なことって今じゃないとダメなの? 街に帰ってからもいいんじゃない?」
「どれだけ重要なことなのかわからない。ただ、ここに電話することが非常識だとわかっていても香坂は電話してきた。選挙のことだとは思うが」
「わかりました旦那様。ただ条件があるわ」
「条件?」
「そう、条件」
「何だよそれ?」
「香坂さんも一応女性よね?」
「そうだが」
「新婚旅行中に電話してくる常識のない女の声を聞いてみたいの。だからスピーカーホンにしてちょうだい。いいでしょ?」
「君にはつまらない話だと思うぞ」
「つまらないかどうかは私が決めます」
「はぁ、了解だ」
「ため息つくなんて、私に失礼よ」
「申し訳ございませんでした、お姫様」
「バカ、ふふふ」
「はい」
旅館の従業員は私にこう話した。
「お休みのところ誠に申し訳ございません。今ほど香坂様とおっしゃる女性の方から電話がございまして、香坂様が長谷川様にお電話しているらしいのですが、長谷川様がお出にならないとおっしゃっておられました。お伝えしなければならない重要なことがあるので至急連絡を頂きたいとのことです。失礼ですが、香坂様は長谷川様のお知り合いの方でしょうか?」
「同僚です」
正確に言えば元同僚なのだが元を付けると面倒になるような予感がしたので元は省略した。
「そうでしたか。それでは香坂様よりのご伝言、お伝えしましたのでよろしくお願いいたします」
「わざわざありがとうございました」
「お休みのところ申し訳ございませんでした。失礼いたします」
受話器を置く。すると咲子が強張った顔でこう訊ねてきた。
「ねぇ、どういうこと?」
「香坂からだ。連絡が欲しいらしい」
「私たち今新婚旅行中なんですけど。香坂さんて常識がない人なの?」
私も咲子もスマホは持っている。ただ、この旅の間だけはスマホの電源は切ることに決めていた。
「いや、あいつでも俺たちがここに泊っていることは知らなはずだ。俺たちの新婚旅行の行き先を知っている人間は限られている。会長、そして俺の両親くらいだ」
そしてもう一人、沢田絵里。
「つまり?」
「香坂はどうしても俺に伝えなければならないことがあるということだ」
「とても大切なこと?」
「多分」
「その大切なことって今じゃないとダメなの? 街に帰ってからもいいんじゃない?」
「どれだけ重要なことなのかわからない。ただ、ここに電話することが非常識だとわかっていても香坂は電話してきた。選挙のことだとは思うが」
「わかりました旦那様。ただ条件があるわ」
「条件?」
「そう、条件」
「何だよそれ?」
「香坂さんも一応女性よね?」
「そうだが」
「新婚旅行中に電話してくる常識のない女の声を聞いてみたいの。だからスピーカーホンにしてちょうだい。いいでしょ?」
「君にはつまらない話だと思うぞ」
「つまらないかどうかは私が決めます」
「はぁ、了解だ」
「ため息つくなんて、私に失礼よ」
「申し訳ございませんでした、お姫様」
「バカ、ふふふ」

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