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千一夜
第49章 第七夜 訪問者 妖の灯
「『羨望には境界線がある。だがそのボーダーラインは状況によって揺れ動く。大切なのはその見えない線を見極めることだ』長谷川、意味がわかる?」
「ああ」
「統括課長ならまだ我慢ができる。でも、万が一長谷川が財政課の部長になったら、追い越された何十人もの人間の恨みは長谷川に束になって向かう。面従腹背。長谷川が市長になったら、長谷川憎しの職員は、表向き友好的な態度を取っても長谷川には絶対協力しない。腹の底で長谷川の失敗を願っている。遠山あっての○○市だけど、会長でも四六時中長谷川をサポートするなんてことはできないわ」
「……」
 香坂の言う通りだ。
「でも長谷川は凄いわよ」
「おい、変なこと言うな」
「部下からは慕われ。同期からは好かれ。私たちより入庁が早い先輩方からは『越されたのが長谷川なら仕方ない』と思われ、それからお嬢様とご結婚だなんて。凄いと言うか、何だか憎たらしいんですけど」
「最後がお前の本音だな」
「当り前じゃない。長谷川が出世するのは構わないんだけど、私まで巻き込んでどうしてくれるのよ。はぁ、これから忙しくなるわ……」
「お前は市の職員だろ。市民のために働くんだ。忙しいくらい我慢しろ」
「あっ、今の長谷川の台詞覚えておきますから。立派なハラスメントです」
「訴えるか?」
「冗談じゃないわよ。自分は辞めて私を市長にする魂胆でしょ? その手には引っかかりません」
「ばれたか?」
「ばればれよ。でも長谷川、上に立ったら一言一言に注意して。役所の中にも重箱の隅を楊枝でほじくるようなやつはいるから」
「了解だ。ところで悪い話は何だ?」
「……」
 一瞬空白。
「おい、どうした?」
「悪い話じゃないんだけど、長谷川には言っておかなければと思って」
「それで?」
「無投票がほぼ決まったことで、あの人降りたわ」
「あの人って、沢田絵里のことか?
「そう」
「いつ? いつ降りたんだ?」
「今日の昼。沢田絵里本人から降りると連絡があったそうよ。情勢を分析して自分の役割がもうなくなったと思ったんじゃない」
「そうか」
「長谷川、それだけじゃないのよ」
「それだけじゃないって、どういうことだ?」
「沢田さん、会社を退職されたわ」
「会社を辞めた?」
「そして今は携帯も通じない状態よ」
「連絡が取れないということか?」
「そう、その通り。彼女、消えたのよ」
「消えた!」
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