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千一夜
第51章 第七夜 マスカレード
「ジーンズを穿いて白いTシャツを着ていた京子ちゃんに会ったとき、昔が蘇った。ときは経っても面影は消えない。俺が作ったナポリタンを『美味しい』と言って口の周りを真っ赤にしていた京子ちゃんだとわかったよ」
「……」
「沢田絵里が俺の前に現れたとき、俺は京子ちゃんが服を着替えたんじゃないかと思った。着替えを済ませて沢田絵里と名乗った」
「亮ちゃんは今でも立花さんと沢田さんは同じ人だと思っている?」
「……そうだと思っている」
「……」
「京子ちゃんがいなくなって沢田さんが現れた。そしてその沢田さんが消えた。ところが沢田さんが姿を消した後、香坂が手掛かりになる写真を俺たちに見せてくれた。その写真を見たとき、俺は幽霊を見たような気分になった。写真の端に写っている女性は間違いなく沢田絵里であり立花京子だ。だが、女性の名前は江村都子だと言う」
「同じ顔の人がこの世界に三人いるということ?」
「あり得ないがね」
あり得るはずがない。美容整形の技l術が今日どれだけ進歩したのか私にはわからない。だが、完璧に同じ顔を作り上げるなんて、それはドラマや映画の世界だけの話だ。現実世界でそんなことができるはずなどない。
「同じ仮面をつけた三人の女……だったらどう?」
咲子が妙なことを言った。
「仮面? それはどういう意味だ?」
「三人の女が同じ仮面を共有してるの。あるときは立花京子。あるときは沢田絵里」
「そしてあるときは江村都子」
「そういうこと」
「だから俺は明日三人の仮面の下に隠された本当の顔を探しに秋田に行く」
「俺たちじゃなくて? 亮ちゃんだけ秋田に行くつもりなの?」
咲子が納得のいかない顔をしてそう言った。
話をここで終えることだってできるはずだ。でも私にはそれができない。私は秘密の蓋を自ら開けた。
私はソファから立ち上がり、床に正座した。そして両手を床につく。覚悟はできている。
「ねぇ亮ちゃん、何してるの?」
「咲子、俺は君に謝らなければならない。俺の話を聞いて腹が立ったら俺を殴ってもいい。俺と一緒にいるのが嫌なら俺がこの部屋を出て行く。いいか?」
「……」
私が何を話すのか、咲子はわかったのかもしれない。咲子の目から大粒の涙がこぼれた。
「俺は立花京子と寝た。悪かった」
私は頭を下げ、額を床に擦りつけた。
「……」
すすり泣く咲子の声がきこえた。
「……」
「沢田絵里が俺の前に現れたとき、俺は京子ちゃんが服を着替えたんじゃないかと思った。着替えを済ませて沢田絵里と名乗った」
「亮ちゃんは今でも立花さんと沢田さんは同じ人だと思っている?」
「……そうだと思っている」
「……」
「京子ちゃんがいなくなって沢田さんが現れた。そしてその沢田さんが消えた。ところが沢田さんが姿を消した後、香坂が手掛かりになる写真を俺たちに見せてくれた。その写真を見たとき、俺は幽霊を見たような気分になった。写真の端に写っている女性は間違いなく沢田絵里であり立花京子だ。だが、女性の名前は江村都子だと言う」
「同じ顔の人がこの世界に三人いるということ?」
「あり得ないがね」
あり得るはずがない。美容整形の技l術が今日どれだけ進歩したのか私にはわからない。だが、完璧に同じ顔を作り上げるなんて、それはドラマや映画の世界だけの話だ。現実世界でそんなことができるはずなどない。
「同じ仮面をつけた三人の女……だったらどう?」
咲子が妙なことを言った。
「仮面? それはどういう意味だ?」
「三人の女が同じ仮面を共有してるの。あるときは立花京子。あるときは沢田絵里」
「そしてあるときは江村都子」
「そういうこと」
「だから俺は明日三人の仮面の下に隠された本当の顔を探しに秋田に行く」
「俺たちじゃなくて? 亮ちゃんだけ秋田に行くつもりなの?」
咲子が納得のいかない顔をしてそう言った。
話をここで終えることだってできるはずだ。でも私にはそれができない。私は秘密の蓋を自ら開けた。
私はソファから立ち上がり、床に正座した。そして両手を床につく。覚悟はできている。
「ねぇ亮ちゃん、何してるの?」
「咲子、俺は君に謝らなければならない。俺の話を聞いて腹が立ったら俺を殴ってもいい。俺と一緒にいるのが嫌なら俺がこの部屋を出て行く。いいか?」
「……」
私が何を話すのか、咲子はわかったのかもしれない。咲子の目から大粒の涙がこぼれた。
「俺は立花京子と寝た。悪かった」
私は頭を下げ、額を床に擦りつけた。
「……」
すすり泣く咲子の声がきこえた。

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