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dear大切な人~クリスマスの奇跡~
第7章 Xmasな夜
斜め前の家で小さな女の子が、両親に抱きしめられて泣いていた。
「なんかあったんかな..裸足や。」
「あれ、美里ちゃんだ。」
真田くんが心配そうに言うと、お父さんがようやく泣き止んだ美里ちゃんを抱き上げた。
お母さんが私たちに気づいて頭を下げた。顔は涙で濡れていた。
「申し訳ありません..こんな夜中に。お騒がせしました。」
「いいえ..」
そして家に入っていく三人を私たちはじっと見守った。
「なんか..まぁ無事そうで良かったね。」
「うん。」
そういって私を見た真田くんの息が白い。
「..ねぇ、目が覚めちゃった。」
「俺も。せっかくだし散歩でもする?」
私はちょっと考えて頷いた。
真田くんは背が高い。
だから足が長くて、歩幅が広いけど私に合わせてゆっくり歩いてくれた。
学校や部活の話をしながら、近所をぐるりと回ると、公園があった。
そこのベンチにすわり、他愛ないのない話をする。
「..けど、松宮くんと琴美が両想いやったゆうんは、ほんま笑たわ。」
「俺たちも、ずっともどかしくてさ。なのにアイツ『近くで琴美ちゃん見れたらそれでいいんだ』とかバカなこと言って、なかなか進まないし..」
「松宮くんらしいなぁ。」
私は笑った。
手袋をしていない手が寒い。
擦りあわせていると、ぎゅっと手を握られた。
「へっ?」
びっくりして真田くんをみると、真っ直ぐ前を見てつぶやいた。
「寒いから..嫌だったら..離すけど..」