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dear大切な人~クリスマスの奇跡~
第2章 幸せは突然
また涙があふれてきて、不信そうに見てくる人々に気づいてすぐ涙を拭った。
その時目の前を、高校生くらいのカップルが通り過ぎた。
「篤、あれで良かったの?プレゼント..」
女の子が彼氏を見上げる。
すると彼氏はメガネの奥で優しく微笑みながら頷いた。
「うん。欲しかったものだし。早苗に貰える物は何でも嬉しい。」
「..っ..」
照れる彼女の肩をぎゅっと引き寄せると、
「早苗、大好き。」
恥ずかしげもなく、でも心のこもった声で囁いていた。
私はそんな二人を見ながら、自分がひどく惨めに思えた。
昔は私だって、あんな風だった。
好き、愛してる..何度使い回した言葉なのか、それでも私は信じていた頃があった。
でも、あの二人の様に素直に表せなくなって、素直に喜べなくなって....
今ではもはや羨ましいとまで感じてしまう自分が情けなかった。