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dear大切な人~クリスマスの奇跡~
第5章 君とのキョリが近すぎて
キキーッ ガシャンッー
私がゆっくり顔をあげると、誰かが走ってきた。
「智子!」
「....作..ちゃん..?」
街灯に照らされた作ちゃんの目が大きく開く。
かろうじて服は着ていても、擦り傷や血のついた顔とボサボサの髪。
驚くのも無理はなかった。
「..智..どうしたんだ?遅いからみんな探しまわってー」
「近づかないで!」
私に手をのばしてきた作ちゃんは、ビクッと止まった。
「.....」
「智子、何があった?お前....」
涙が溢れてきて、ボロボロこぼれる。
それを見て悟ったのか、険しい顔になると自転車を起こして私の所に戻ってきた。
「後ろ乗れ、智子。」
「....」
「交番いくぞ。」
「....」
「..智子!」
「やああ!」
怒鳴るような声に私は耳をふさいだ。
男たちの声やニヤついた顔が浮かぶ。
そのままイヤだと何度も叫んでうずくまると、作ちゃんが誰かに電話し始めた。
「智子がいました..はい、○○公園の近くです。早くきてください..」