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dear大切な人~クリスマスの奇跡~
第5章 君とのキョリが近すぎて
『はーい、智子ぉ?』
「ママ!?ちょっと、今どこ!?」
『ええ~温泉よぉ~お母さんに聞いたでしょ~?」
私は後ろで携帯を耳に当てる作ちゃんを振り返った。
「だから!どういうことだよ!」
あちらも電話しているようだ。
確かに、お母さんの声がママの後ろから聞こえる。
「そんな、急に....!」
『クリスマスのクジ?みたいなのが当たったらしくてぇ~誘ってくれたの~二人しか行けないし~パパも出張中だし~作ちゃんいたら大丈夫かなーって~』
「ママ..酔ってる?」
『んふ~!ちょっと3本..んー4本くらい飲んだかもぉ~じゃあね~』
「え、ちょっと!」
構わず電話を切られ、私は呆然とした。
作ちゃんも立ち尽くしている。
「..お袋、さっさと家でないからケーキ買うように言ったらしい..」
「お母さんがクジ当たったって....」
二人で顔を見合わせ、ため息をついた。
ママたちはよく旅行にいく。
でも秘密にされたのは初めてだった。
「とりあえず...泊まっていくか?親父さん出張中だろ?」
私は少し考えて、小さく頷いた。