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ブルマー狩りの季節
第10章 柿谷早苗のブルマー【遊戯・五】
無論のこと普段は無口で、それ故に気味悪がられている四十五歳の男性教師が、喜々として“女の子”口調を真似るのは、その女子にとっては”恐怖”以外の何物でもない。

早苗にしても、私が”女の子”口調を始めたその瞬間から五秒の間に、みるみるうちに顔を引き攣らせた。

しかしそれが往々にして政治に用いられてきた(いる)ように、”恐怖”は個人を抑圧する上で、極めて有効に働く。

◇◇◇◇◇

「『でも、乳首に舌を絡み付かされたら、“チ×ポ”って言わなきゃイケない……困ったわ……』」

しかし私は、“女の子口調”を続けて、それから早苗にその正否を尋ねた。

「そんなところじゃないのか?」

「違いますっ……」

早苗は空かさずそう答えて、私の推測を否定した。

「『でも、乳首に舌を絡み付かされたら、“チ×ポ”って言わなきゃイケない……困ったわ……』」

しかし私は、“女の子口調”を続けて、それから早苗にその正否を尋ねた。

「そんなところじゃないのか?」

「違いますっ……」

早苗は空かさずそう答えて、私の推測を否定した。

しかし私も空かさず、次には別の推測を明らかにした。

「じゃあ、こういうのは、どうかな……?」

今一度、偉そうな口調でそう前置きしてから――その口調を“女の子”風に戻して――私は言った。

「『私、実は“チ×ポ”って言ってみたいのっ』……」

すると早苗は――真正面に向けた顔を引き攣らせて――叫んだ。

「なっ、何言ってるんですかっ!?」

しかし私はそんな早苗に構わず、そしてそれ以降の如何なる悲鳴や哀訴も全て無視して、“女の子”口調を保っての一方的に推測の披露――最早“中傷”と言うべきなのだろうが――を進めた。


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