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第16章 　　　　　（６）いろいろな場面で

３　性風俗産業

このバーチャルお見合いシステム導入により、大変革を遂げたのがこの業種である。
従来は従事する女性のリアルの肉体を事実上支配し、コントロールし、客に提供していたことから、リアルのいろいろなしがらみが絡んでこの産業は反社的な色彩を帯びていた。
従事する女性は妊娠の危険を抱え、客は感染症伝染の危険に怯（おび）えていた。

それが、Ｖの導入によりその内容を一変させた。
導入当初はＶを営業に利用することは禁止されていたが、９月に
＜Ｖは趣味コンテンツである＞
と位置付けられたため、その趣味の発展としての小遣い稼ぎは大目に見ようという空気が起こった。
女性にとりＶの起動はその自由意思により行われること、さらにバーチャルの出来事のためリアルの妊娠や感染症などの実害がないことが、理由。

この結果、もちろん電車内やスポーツ施設などの公共の場での個人営業は禁止だが、街路や公園など自由な開けた場所での小遣い稼ぎは目こぼし扱いになった。
多くは初期仕様の２５歳＜テ・ツ・ヤ＞＜ム・ツ・ミ＞の姿を売りにしたが、中には自らのリアル姿を売りにする者もいた。
この影響により、風俗業は店舗産業としてはほぼ消滅することになった。

ただ前述の芸能人のＶ営業、元の風俗店などによる小規模な店舗Ｖ営業は、細々と秘かに続いた。

街にはＶ売春男女が多数出現したが、＜ひとりチンマン＞の存在もありそれほどまん延というわけでもなかった。

４　Ｖ使用の実態

Ｖが趣味だと位置づけられたことにより、勤務時間内や学校内では使用が禁止された。
子供が使う時は本人がいちいち行政に申請しないといけない（保護者には通知されない）という面倒臭さから、＜ひとりチンマン＞の利用が一般的になり、異性を相手とする本来のＶ使用は激減した。