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ソルティビッチ
第1章 ソルティビッチ…
 15

「なんでぇ、わたしを待っていたのかなぁ?…」

「あ、う…そ、そ…それ…は…」

 彼は…

 今にも泣きそうだ…


「なんでかなぁ?」
 わたしは彼に顔を近づけ、目を覗き込む様にしながらそう囁く。


「あ…ぁ…それ…は…」

 だが、彼は、かわいい男の子は…
 あとひとことが言えないでいた。

 しかし、きっと、そのひと言さえ言えれば…
 心の中の慟哭という壁が、崩れるだろう。

 仕方がない…

 彼に、男の勇気のきっかけを…

 与えてあげようか…

「あの…ウィンナーの…」

「えっ…」

「あのウィンナーみたいにさぁ…
 わたしにさぁ…」
 更に顔を近づけて覗いていく。


「あっ、は、はい、そ、そうなんです…

 お、お姉さんに…食べて…もらいたいんですっ…」

 と、彼は小さく叫んだ。


「うふふ…よし、合格よ…」

 わたしはそう囁き、彼の頭を引き寄せ…
 キスをした。


 そして…

「よし…おいで…」

 まるで、ペットを手招きするかの様にそう囁き…

「さぁ、こっちに…」
 マンションのエントランスへと彼を導き、エレベーターに乗る。


「あっ、んっ」
 わたしはエレベーターに乗るなり、彼を引き寄せ、貪る様に熱いキスをしていく。

 チン…

 そしてエレベーターが到着し、わたしはようやく唇を離した。

 そう、わたしは…

 このほんの一瞬の間が…

 万が一、醒めてしまうのが…

 こわかったのだ。

 
「特別よ…さぁ、どうぞ…」


 それに…

 一夜の、ワンナイトの男を…

 自宅マンションに招き入れるのも、初めてであったのだ。

 バーの近く、徒歩5分圏内にホテルはあるのだが…

 そしていつもはそのホテルを利用するのだが…

 なぜか今夜は…

 その僅かな時間が…

 僅かな時間でも…

 醒めてしまうようでこわかったのだ。

 それに、この男の子のかわいさの…

 油断のせいもあった。


「さぁ…こっちへ」

 わたしは彼をリビングに誘い…

 ソファに座り…

「そこに…座りなさい…」
 彼に言った。

「は、はい…」

「違うわよ…」

「え…」

「違うわよ…
 キミは…そこよ…」

「え…」

「その床に座るのよ…」

 わたしは…

 最終テストをする…









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