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ソルティビッチ
第1章 ソルティビッチ…
 2
 
 わたしはこの街の駅前の繁華街に鎮座する、20階建てのマンションに住んでおり…
 このバー『Bitch(ビッチ)』は、そのマンションの向かい側の古いペンシルビルの1階にある。

 そしてパソコンと電話が有れば成り立つ自営業のわたしは、仕事と生活のメリハリを付ける為にと…
 敢えて、徒歩10分圏内の場所に事務所を構え、日々通っていた。

 そして住居であるマンションは繁華街のど真ん中にあるから、その徒歩10分の事務所とマンションの間には飲食店があり…

 アーケード商店街があり…

 そしてマンションの1階にはコンビニエンスストア…

 美容室兼エステサロン…

 歯科医院…

 24時間フィットネスジム…

 等々があって、その徒歩10分圏内でほぼ全てのわたしの生活、ライフスタイルが賄えてしまうのである。


 そして男も…


 特に雨…

 雨の降る様な…

 低気圧に圧迫されている様な夜には…

 このバー『Bitch(ビッチ)』で、男も調達したりしていたのだ。

 わたしは数年前に大病を患い、その手術痕が低気圧という見えない空気の圧力により刺激を受け、自律神経を逆なでし、心がザワザワと激しく揺らぎ、騒めいてしまい…

 男に抱かれて…

 いや、セックスをしないと…

 治まらないのである。

 だが、ただ抱かれれれば…

 セックスすれば…

 単純に、ただヤれればいいという訳ではやっぱりなく…

 ある程度の質は必要であった…

 の、だが、なかなかそんな理想的な男には、そう簡単には巡り逢える訳でもなく…

 そして当然、理想的で無ければ再びその男とは二度と寝たくは無く…

 こんな感じのシュールで小さな揉め事等は…
 日常茶飯事であったのだ。

 いや、わたしにとってはよくある普段のワンシーンといえ…

 ビッチ…

 クソ女…

 ヤリマン女…

 等々、男たちに罵られ…

 だから…

 そんな言葉、単語は…

 ただの日常なのであり…

 そして…

 最高の褒め言葉と云える…



 

 今夜も…

 こんな秋雨のそぼ降る夜は…

 わたしの自律神経は不安定に…

 疼き、昂ぶってしまう…





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