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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第43章 傷痕
ボクスは爺さんをチラリと横目で見た。爺さんは特に返事を求めていたわけではなく、一人で喋っている。
「都の王さまは地方であくせく働いてる儂らのことなんぞ、考えたこともなかろうて。跡継ぎが出来ないのを口実に、後宮の美しい宮女を取っ替え引っ替えしているというぞ。儂らは働けども働けども暮らしはいっかな楽にならず、お貴族さまは能なしの肥えた鵞鳥のようにますます肥え太る。世の中、不公平だの」
ボクスは爺さんの愚痴を聞き流しながら、また手慣れた様子で薪を割ってゆく。
「都の王さまは地方であくせく働いてる儂らのことなんぞ、考えたこともなかろうて。跡継ぎが出来ないのを口実に、後宮の美しい宮女を取っ替え引っ替えしているというぞ。儂らは働けども働けども暮らしはいっかな楽にならず、お貴族さまは能なしの肥えた鵞鳥のようにますます肥え太る。世の中、不公平だの」
ボクスは爺さんの愚痴を聞き流しながら、また手慣れた様子で薪を割ってゆく。