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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第43章 傷痕
この北の小さな町は漸く桜の蕾が開花し始めたばかりだ。都ではもう桜はとっくに散り果てていることだろう。
ところが、である。漸く桜が綻びかけたかと思ったら、あり得ないほど気温が上昇して一挙に夏到来のような暑さがやってきた。第一、北のこの地方は真夏でもここまで暑くなることは滅多にない。だとすれば、迷信深い年寄りではなくとも、都の国王が日がな酒色に耽溺している堕落ぶりを天の神がお怒りだと恨みたくもなるというものだ。
ところが、である。漸く桜が綻びかけたかと思ったら、あり得ないほど気温が上昇して一挙に夏到来のような暑さがやってきた。第一、北のこの地方は真夏でもここまで暑くなることは滅多にない。だとすれば、迷信深い年寄りではなくとも、都の国王が日がな酒色に耽溺している堕落ぶりを天の神がお怒りだと恨みたくもなるというものだ。