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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第43章 傷痕
獲れた魚を隣町まで売りにゆくのは、専らボクスの仕事になった。その頃から、父は働き過ぎが祟ったのか、体調を崩しがちになった。ある日、ボクスは魚籠を抱えて町の目抜き通りを歩いていた。前夜、家族三人でささやかな夕餉の膳を囲んでいる最中、父が倒れた。父は急に胸を押さえて突っ伏したのだ。
すぐにボクスは町まで医者を呼びに走った。医者の診立ては心ノ臓が弱っているとのことだった。これ以上、父に無理はさせられない。
蒼白い顔で横たわる父の顔が眼の前にちらつき、ボクスはつい注意散漫になっていた。四つ辻まで来た時、向こうから全速力で荷馬車が走ってきているのにも気付かず、ぼんやりと渡ろうとしていた。
すぐにボクスは町まで医者を呼びに走った。医者の診立ては心ノ臓が弱っているとのことだった。これ以上、父に無理はさせられない。
蒼白い顔で横たわる父の顔が眼の前にちらつき、ボクスはつい注意散漫になっていた。四つ辻まで来た時、向こうから全速力で荷馬車が走ってきているのにも気付かず、ぼんやりと渡ろうとしていた。