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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第43章 傷痕
隣町は北の地方都市としてはそこそこ大きく、大通りには様々な露店がひしめいていた。ミスはお金持ちのお嬢さまだから、衣服、髪飾り、宝飾品には事欠かない。それでも、ボクスがコツコツと貯めて買ってやった安物の簪を宝物のように歓んで身につけてくれた。
後から思えば、ミスはボクスの前でだけ簪を気に入っているふりをしていたに相違ない。何故なら、所帯を持ってから、妻があの簪を身につけているのを一度たりとも見たことがないからだ。
ボクスがミスに夢中になるのに時間はかからなかった。逢瀬を持つようになって三ヶ月後、ボクスはミスに求愛した。
「お袋にも逢わせたいんだ」
後から思えば、ミスはボクスの前でだけ簪を気に入っているふりをしていたに相違ない。何故なら、所帯を持ってから、妻があの簪を身につけているのを一度たりとも見たことがないからだ。
ボクスがミスに夢中になるのに時間はかからなかった。逢瀬を持つようになって三ヶ月後、ボクスはミスに求愛した。
「お袋にも逢わせたいんだ」