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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第43章 傷痕
母に怒鳴るのは体の良い八つ当たりだと判ってはいた。母は母で幼い孫が不憫だからこそ、隣町まで四半刻もかかる道程を歩いて嫁に会いにいったのだ。
だが、ミスは実の娘に対してさえ、何の情も見せなかったという。あのろくでもない女であれば今更愕きはしないが、想像するのと実際に母を通して知らされた衝撃は大きかった。
つまりは自分は心のどこかでまだ、ミスが実の娘に対しては何らかの情を示すのではないか、抱いているのではないかと甘い期待を持っていたのかもしれない。まったく、我ながら馬鹿な男だ。
だが、ミスは実の娘に対してさえ、何の情も見せなかったという。あのろくでもない女であれば今更愕きはしないが、想像するのと実際に母を通して知らされた衝撃は大きかった。
つまりは自分は心のどこかでまだ、ミスが実の娘に対しては何らかの情を示すのではないか、抱いているのではないかと甘い期待を持っていたのかもしれない。まったく、我ながら馬鹿な男だ。