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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第43章 傷痕
日中はまだ十分、薄物で過ごせる季節だったのだ。当然、綿入れなど持ち出しているはずもなく、かといって着替えなど買う金銭的余裕はない。
むろん、食べるためには多少の銭を稼ぐ必要があったため、彼は流れ着いた先で日雇い人足のような力仕事をして僅かな金子を得て何とか糊口を凌いでいた有り様だった。
露天商から売り物にならないような芋や大根を格安で分けて貰い、囓って食いつないでいた。だが、ほんの少しの持ち合わせさえ、もう底を突こうとしていた。おまけに、真冬の寒さに羽織る胴着もない。この北の地方の寒さは殊の外厳しく、身体の芯まで凍り付きそうなほどだ。
むろん、食べるためには多少の銭を稼ぐ必要があったため、彼は流れ着いた先で日雇い人足のような力仕事をして僅かな金子を得て何とか糊口を凌いでいた有り様だった。
露天商から売り物にならないような芋や大根を格安で分けて貰い、囓って食いつないでいた。だが、ほんの少しの持ち合わせさえ、もう底を突こうとしていた。おまけに、真冬の寒さに羽織る胴着もない。この北の地方の寒さは殊の外厳しく、身体の芯まで凍り付きそうなほどだ。