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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第43章 傷痕
 襤褸屋ですら借りる金なんてないから、軒下で眠ることはザラだった。親切な農家の納屋で眠れるのは滅多にない幸運といえる。時には廃屋や空き店(だな)にこっそりと忍び込んで一夜の寒さを凌いだ。





 この町に流れ着いて数日めの夜、彼は残った僅かな金で安酒を買った。以前に見つけた空き店に潜り込み、安物の酒を浴びるように飲んだ。師走の寒さがしんしんと身に迫るも、寒さを凌ぐ藁さえなかった。すっかりと酔いが回ると、急激に睡魔が襲ってくる。ここで眠れば、翌朝には物言わぬ骸と化しているのは判っていた。
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