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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第43章 傷痕
 ペチペチと頬まで叩かれ、ボクスの意識は完全に覚醒した。ふいに眼の前を眩しい灯りで照らされ、眩しすぎて眼を開けることもできない。



 声の主は腹立たしそうに呟いた。



「最近、うちの店に怪しい男が潜り込んでいるって聞いたが、本当だったんだな」



 どうやら、ボクスがここに寝泊まりしているのをお節介にも空き店の持ち主に知らせた者がいたようだ。



ー余計なことをしやがって。



 ボクスは悪態をつきながら、覚悟を決めて眼を開いた。




 彼の眼に映り込んだのは、小柄な中年の男だった。歳格好から言えば、彼の父親ほどだろう。
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