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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第43章 傷痕
「お前、許しもなく他人の持ち家を宿にしてるのか?」
ボクスは上半身をゆっくり起こし、まじまじと男を見た。
「見ての通りだ。役人に突き出すなり何なり、気の済むようにすれば良い」
どうせひと度は捨てようとした生命だ。どうなろうが構やしない。
と、男が小さく呻いて顔を背ける。
「臭ェな。酔っ払いか?」
中年男はいかにも人の良さげな丸顔を歪め、ボクスの足下に転がった酒瓶を見やる。
「その若さで死ぬつもりだったか」
見かけによらず、鋭い男だ。男が顎をしゃくった。
ボクスは上半身をゆっくり起こし、まじまじと男を見た。
「見ての通りだ。役人に突き出すなり何なり、気の済むようにすれば良い」
どうせひと度は捨てようとした生命だ。どうなろうが構やしない。
と、男が小さく呻いて顔を背ける。
「臭ェな。酔っ払いか?」
中年男はいかにも人の良さげな丸顔を歪め、ボクスの足下に転がった酒瓶を見やる。
「その若さで死ぬつもりだったか」
見かけによらず、鋭い男だ。男が顎をしゃくった。