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後宮に蝶は舞いて~Everlasting love~第二部
第43章 傷痕

「格好つけるわけじゃないが、礼は要らねえよ。あんたこそ、良いところのお嬢さんだろう。お供もつけずに一人で人気のないところをほっつき歩くんじゃねえぞ」
娘がしゅんとうなだれた。
「今日は舞と伽耶琴(カヤグム)のお師匠さんのところへ行った帰りだったのです。迎えの女中が来るはずなのに来ないので、一人で帰ろうとしたところにあの男にまた遭遇してしまって」
娘の物言いに引っかかり、ボクスは首を傾けた。
「あのいけ好かない坊ちゃんは、知り合いのなのかい」
娘が小さく首肯する。
「父の取引先の息子ですの」
ーなるほど、なら、この美しいお嬢さんに偶然出会ったというわけじゃなさそうだな。
娘がしゅんとうなだれた。
「今日は舞と伽耶琴(カヤグム)のお師匠さんのところへ行った帰りだったのです。迎えの女中が来るはずなのに来ないので、一人で帰ろうとしたところにあの男にまた遭遇してしまって」
娘の物言いに引っかかり、ボクスは首を傾けた。
「あのいけ好かない坊ちゃんは、知り合いのなのかい」
娘が小さく首肯する。
「父の取引先の息子ですの」
ーなるほど、なら、この美しいお嬢さんに偶然出会ったというわけじゃなさそうだな。

