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第45章 新たな日々

　ボクスは頭上を振り仰いだ。四日前にようよう咲き始めた桜花は、今、八割方は咲いている。あと少しすれば満開になるだろう。



　この屋敷の中庭に植わっているのは、手鞠桜だ。この桜は通常の桜よりは色が濃く、薄紅というよりは濃いピンクである。その名のごとく、幾つかの花が集まり手鞠の形をして枝につくのだ。花の形そのものも花びらの枚数が多く、重なり合った花びらがより華やかで愛らしい印象を与える。




　よく見かける薄紅の桜は臈長けた大人の女を彷彿とさせるけれど、手鞠桜はこれから花開こうとする若い女性の愛らしさ、初々しさに通ずるものがある。