この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
背徳のキス
第4章 3話目

“落ち着け、取り乱して悪目立ちは本当良くない。
ホタテを粉々にしてやりたい所だけど、そもそも指輪を紛失した僕が悪いのであって、ホタテに罪は無いし、無関係。落ち着け.....。
.............。
落ち着けと自己暗示をかける中、頭の中に再度あの音感狂いのマーメイドの姿が思い浮かんだ。
”真面目な話、仮にあのまま指輪が見つからなったら、僕は屍か魔海を荒らす激ヤバモンスターかの2択だったわけで。そう考えると、指輪を素直に渡してくれた彼女には何かしらのお礼をした方がいいのかもしれない...面倒だけど。“
悪魔の癖に変な所で律儀な性格をしている彼は、恩を受けたままにするというのが何とも居心地が悪いらしく、早速恩返しに彼女へのプレゼントを考え始めた。
そしてそれは案外すぐに決まった。ホタテである。
結局彼女の好きな物等、皆目見当もつかなかった為、目の前のホタテ貝でいっか、となったのだ。考える気ゼロである。
残りのお金を有るだけ使って、ホタテ貝を買い占めた。その数、100個だ。
何故そんな馬鹿みたいな量を....と思うかもしれないが、底知れぬ胃袋を持つ彼からして見れば、ホタテ貝100個等、間食にすら含まれない上、分からないのだ。
大量のホタテ貝が入った網袋を軽々と片手で持ち上げ、レヴァイアタンは店を後にした。彼の後ろ姿を、店主のマーマンは怪訝そうな顔で見つめていたのだが、人魚の食生活等1ミリも知らない彼はその視線にすら気付かない。
そしてこの後、彼は購入したホタテ貝によってまたしても赤っ恥をかくことになるのだが、この時の彼はまだ知る由も無い。

