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背徳のキス
第4章 3話目
“....綺麗.....写真みたい“
そっと後ろからレヴァイアタンは写実絵を覗き込むと、思わず目を奪われた。
ケント紙に描かれていたのはクシクラゲだ。
目の前を漂う二匹のクシクラゲを参考に描いたものと思われるが、アクリル絵の具で描いているとは思えない程のリアルさがあり、今にも動き出しそうだ。
もう絵は完成系に近いと見られ、彼女は筆で最後の手直しをしているようだ。
その部分は体の表面を縦に走る櫛板だ。その櫛板が光の反射をしてキラキラと虹色に光るわけだが、彼女はその輝きを更にリアルに表現していく。
「.........よし!これでいいかな。」
「完成した?おめでとう。」
ナチュラルに背後から話掛けてきたレヴァイアタンの存在に、彼女は心臓が止まる程驚いたらしい。1分程、動画の一時停止の如く動かなくなっていた。
「.....ハ、ハァ....ビ、ビックリした....。ビックリしてまだ心臓がハカハカしてる。もう、変な脅かし方やめて下さい。」
「一応挨拶は2回したけど、絵に没頭していた君は聞こえてなかったみたいで。」
「....聞いていなかった私も悪いですけど、だからって許可無く勝手に入るのは駄目でしょう。怖いし。」
「怖かったの?ああ、ごめん。それなら謝るよ。それに脅かす気は無かったし。」
「...いつからここに?」
「んー...10分ぐらい前かな?」
「その間、退屈じゃなかったんですか?」
「別に。君の絵、とても綺麗だったから。ずっと見てられたと思う。」
レヴァイアタンの率直な感想に、シェリーは一瞬瞠目した後、顔をボンっと赤らめると、はにかんだ笑顔を見せる。