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背徳のキス
第4章 3話目



「......何で笑ってるの?
 僕、ちょっと怒ってるんだけど?」


「だってルッキズム非難は一般的にタブー扱いなのに、堂々と親の仇みたいな顔をして言うから、面白いなって思っちゃって(笑)」


「......ああ...まあ...それはそうだけどさ。それでも君が偏見で不当な扱いを受けるのは腹が立つっていうか.....。」


言い訳が尻すぼみになりながらも、レヴァイアタンは自分の発言が人魚の世界では御法度になる事にかなり違和感を覚えた。
外見差別は悪だと大々的に発言する事が出来ないなんて、本来あってはならないだろう。


“人魚の常識って歪だ。
けど、今は僕だって仮にも人魚だし…
発言には気をつけないとな...”


「ありがとう、貴方みたいな人魚も居るんですね。昔から良くある事なのに私、全然慣れなくて。ごめんなさい。」



「..........いや、謝らなくていいから。....えーっと、話変わるんだけど、君の写実絵って貰えたりする?」



「え?」


「ああ、別に君が気に入ってるなら、無理にとは言わないけど。」


「全然良いですよ。あげます。
 貰って下さい。」


「え?」と驚いたレヴァイアタンに、シェリーは先程完成させたクシクラゲの絵をスケッチブックから切り離すと、「どうぞ」と言って、手渡した。


「.....いいの?力作なんじゃないの?」


「そんな事無いですよ。所要時間は30分くらいですし。そんなので良ければ、どうぞ。」


「.........。このクオリティーが30分だって?君、天才だろ?あり得ないんだが。ごめん、今、金欠だから支払いは今度遊びに来た時でいい?」


「無料でいいですよ。」


「サービス精神凄すぎ(笑)じゃあお言葉に甘えちゃおっかなぁ。」


上機嫌になったレヴァイアタンは、すっかり気を抜いてしまった。
人差し指から強力な保護魔法を放つ。転移の際、何かしらのダメージを食らって紙が変形したり酷い時は消失する恐れがある。それを防ぐ為の大切な魔法だ。


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